パズル作家になって稼ぐ方法。作家歴17年の男が語るパズル作家への7ステップ

突然ですが、あなたの周りでパズル作家いますか?
「いないです」と答える人、多いのではないでしょうか。
ところが、プロ野球選手、棋士、漫画家等は周りにあまりいない職業にも関わらず大体イメージがつく仕事です。周りにいなくても、どういう事をして、どういうステップかある程度のイメージはつくと思います。
そう、パズル作家って一般的に実態はあまり知られていません。ちょこっとブログでみる程度でしょうか?
ですが、弊社の代表は実は、ちょっと前までパズル作家をしていたそうです!!そこで、この記事ではパズル作家とは?パズル作家になる道のりをちはる氏に説明してもらおうと思います。
この記事の目次
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そもそも、パズル作家ってどういう仕事?
こんにちは、ちはるです。実は私が17年に渡り、パズル作家をしていたという事で色々お伝えさせて頂こうと思います。よろしくお願いします。
さて、最初にパズルについての理解からいきましょう。パズルと言えば何が浮かぶでしょう?
実は大きく分けて2パターンあります。
1つは三次元のパズル。ジグソーパズルやピースを箱につめるもの。長方形、三角形、L字型のピースを並べ替えて家の形にするもの。ブロックを組み合わせて正立方体にするもの。。。こういった図形パズルや立体パズルをさします。
もう1つは二次元の紙面に書かれており、鉛筆で解くパズルです。
クロスワードパズル、ナンクロ、漢字パズル、数独。そういうものです。電車の中で解いている人がいるあれです。本屋さんにパズルコーナーとして雑誌が置いてあるあれです。
私は後者をやっていました。クロスワードパズル等の言葉を使う系はあまり得意ではないのですが、数独、カックロ等の数字系のパズルです。完全に二次元専門です。
で、何をもってパズル作家というかは、パズル雑誌やウェブ媒体等に作ったパズルが載せられていて、報酬をもらっていたという事です。プロとして、提供したサービス(商品)の対価を認められ、報酬(お金)をもらっていたという事です。
なお、私は日本で最初のパズル雑誌「ニコリ」やニコリ社が出している各種パズル誌に掲載されていました。また、こちらのウェブ版にも載っています。nikoli.com(http://nikoli.com/ja/)
パズル作家歴17年って長くないですか?
私はパズル作家としては17~33歳まで活動していました。
え、17歳から?って思ったかもしれませんが、そうです。高校生の時から副業的にやっていました。
パズル業界は結構、若い人が多いです。高校生からっていうのは結構います。高校生の頃から雑誌に掲載されて、報酬を受け取っていたりしました。おっと、ここら辺の具体的な話しは後半でお話ししましょう。
どういう人がパズル作家になるの?やっぱり頭がいい人なの?
私が知っているパズル作家さんを見る限り、勉強ができるかどうかよりも(正直、勉強もできる人達ばかりですが)素頭がいい人が多いです。
知的好奇心が旺盛、考える事が好きな人で、クイズ好き、理系の人、論理的な思考力が高い人が多かったです。やっぱり学歴も高い人が多く、東大・京大出身の人は多いですね。
また、一つのことに集中する能力に長けているので、オタク気質をもっている人も多いです。アニメ、ゲーム、電車、歴史。。。どういう分野にしろマニアックに突き詰める能力が長けています。実はパズル以外の分野で業界内では有名な人も多数います(と言っても一般的に知られてないような分野ばかりですが)。
パズル作家ってどうなるの?どこで募集されるの?養成講座とかを利用したの?
では、いよいよ本題に入りましょう。
パズル作家になるステップについてをお伝えします。最近は、パズル作家養成講座とかもあるようですが、やってません。私は不要だと思います。否定するわけじゃないですが、養成講座に参加したら能力はつくかもですが、最終的になれるかは別ですから。パズル作家になれるかは能力ではなく別の要因だと思っています(最後まで読むと書いています)。
そこで、パズル作家になるステップを私のストーリーと合わせて簡単に書いてみました。以下のステップを踏めば誰でも(というのは言い過ぎかもですが)なれます!
⓪クイズ・ボードゲームが好きな幼少期
元々、私はクイズやパズルがとても好きな少年でした。幼稚園~小学校低学年の頃は、友達と遊ぶ事、外で遊ぶ事が好きな傍ら、クイズ・パズル・考える事がとにかく好きでした。母親に図書館に連れて行ってもらっては、クイズの本を借りていました。
そして、小学校4年生ぐらいからはボードゲームにはまりました。弟や友人とやっていましたね。それだけでは飽き足らず、紙に自作のゲームを書き、六角の鉛筆をサイコロにして学校でもやっていましたね。
なお、当時はクイズ番組が大流行の時代でした。特に、アメリカ横断ウルトラクイズにはとってもはまっていました。毎週土曜日には急いで家に帰ったものです。いや~、いい時代でしたね(笑)
①パズル雑誌のパズルを解きまくる
そんな幼少期を送ったならほぼ下地はできています。もう、バッチリです。英才教育を受けているようなものです。
で、ここからが本番。
まずは最初のステップ。パズル雑誌に出会い、パズル雑誌のパズルを解きまくります。
私の場合は、パズル雑誌の「ニコリ」に出会ったのは中学2年生の時でした。当時はパズル雑誌の種類はほぼ皆無でした。今のようにパズルコーナーはありませんし、ニコリ誌自体もどこの書店でもおいてあるわけではありませんでした。
という、偶然の中で、たまたま見つけました。もちろん、元々パズルやクイズが好きだったのですぐにお小遣いで買いました。
そこからは、もう解きまくるわけです。
空いた時間を全てとはいかないものも、パズルに使う時間は自然と増えていきました。友達と遊ぶ時間、部活の時間を除く一人の時間は没頭していくようになります。
なお、このステップは重要で、好きこそものの上手なれの通り。どんなパズルが面白いか自然と身体で身についていく時期です。
②はまる
①のステップを過ぎるとはまりだします。面白いパズルを解きたい!という欲求が強くなっていきます。
最初は量を求めていたところから段々と質を求めるようになります。パズル雑誌も自分のお気に入りが決まり、お気に入りのパズルが決まり、お気に入りのパズル作家さんも決まってきたりします。
私の場合は、比較するパズル雑誌がほぼ皆無の時期だったので一択でしたが、毎号買っていました。
ドンドン、マニアックになっていくのですが、どういう世界でもそうでしょう。野球なら、好きな球団、好きな選手、選手の各種数値を覚えて。。。というのと同じですね。
③自分でも作れるかも?って思って作る
②のステップを超えた人の何%かの人が作ってみようと思います。
自分もできるかも?と勘違いしたらしめたものです。実際に自分で作ると面白いパズルになるかどうかはともかくできる事を発見します。
私の場合は中学3年生の時でした。方眼紙を元に、簡単なパズルを作ってみたらできるので何問か作りました。それを解きなおしたら解けました。普通に作れると思ったので幾つかのパズルに取り組んでみて、自分が作るにあたって作りやすいパズルを見つけていきました。
なお、今ではHPやパズル雑誌で作り方が載せられているので、それを参考にすればスムーズに作れるでしょう。当時は特にそういうのがなかったので試行錯誤でスタートしました。決してスマートなステップではないですがその期間は後々役に立ったなって感じます。
野球に例えると川辺でキャッチボールをしてそのキャッチボールが純粋に楽しくて、好きだから上手になっていくというステップです。
④作品募集されているパズルを応募をする
パズル雑誌を見ると、投稿を募集しているのに気付きます。大抵のパズル雑誌は作品募集をしています。
私自身もパズルを作った後、作品募集されている事を知り、作るモチベーションがあがりました。パズルを10問程作り、えいや!という感じでそのうちの何問かの出来が良いものを清書して応募しました。この時は載ったらいいな~。でも、みんな凄いから載らないだろうな~ぐらいな気持ちで応募したのを覚えています。
⑤掲載される
おめでとうございます!ここまでくればパズル作家のスタートラインに見事に立ちました。
まだ、1回しか掲載されていませんがこのままのステップを踏めば大丈夫です。
野球で例えるとドラフトで選ばれたようなものです。一軍で活躍するのはまだ先ですが、可能性は開かれました。
私の場合、1回目の応募時は掲載されませんでしたが、2回目で掲載されました。中学3年生の時です。
自分のパズルとペンネームとが雑誌に掲載されたのを見てとても嬉しい気持ちになりました。
他のパズル作家さんと肩を並べた気持ちになって誇らしく感じたのを今でも覚えています。
また、何度も自分のパズルを解いては消して、解いては消してを繰り返しました。そして、掲載されることを知り、モチベーションはあがり、ドンドンのめり込んでいく事になります。
⑥継続的に掲載される
⑤を抜けて、投稿をしていくと(ある程度の実力があればですが)継続的に掲載されるようになります。
最初のうちは何回かに1回掲載されるレベルでしたが、段々と毎回掲載されるようになりました(それが高校2年生の時です。私自身、パズル作家と呼べるのは継続的に掲載されるようになってからだと思っているのでパズル作家歴として数えているのは高校2年生からで数えています)。
そして、色々な種類のパズル(クロスワードパズル、数独、ナンクロ等々)が掲載されるようになっていきます。新しい種類のパズルが掲載されるのは、一番最初に掲載された時と同じような気持ちになります。
もう一つ、嬉しかった事に報酬がもらえたという事があります。
パズル1つの報酬は数千円ですが、掲載料がもらえました。1回に2,3問掲載されるようになっていったので、1回で数千円~1万円ちょっとがもらえる状態になりました。高校生で、好きな事をして副業的にお小遣いがもらえるようになったのは大きく世界が広がった印象です。
⑦依頼が来るようになる
そして、いよいよ最終段階。雑誌社から依頼が来るようになります。
依頼の形式は幾つかありますが、大きく分けて2つです。
1つは、このパズルを自由に作ってください。その中で選定して掲載します。というもの。当然、作っても掲載されるものも、掲載されないものもあります。ですが、作家側としては、作品のクオリティーを保てなくてもいいので(駆け出しのころは質を保ちにくいので)それはそれで助かります。
もう1つは、こういう作品でお願いします!というもの。完全にあなたに依頼しますというもの。こちらはテーマがあったり、大きなサイズだったりと縛りがあります。そして、何よりも質が求められます。掲載されるレベルとして仕上げる事が絶対的な条件になります。
私の場合は、高校2年生の頃から定期的に掲載され、大学生になると、定期的な依頼が来るようになりました。
依頼が来ると毎回掲載されるようになります。こうなったら、立派なパズル作家ですね。毎月の〆切があるので、月に決まった本数のパズルを作る必要がでてきます。
定期の依頼が来るようになってからは毎月10本ほどは作っていたので時間の確保は必須でした。月に1,2日丸々とる方法もありですが、私の場合は少しずつ作るほうがあっていたので、大学生の時はつまらない授業中に内職したり(笑)、会社員時代は通勤や移動時等の電車内で作っていました。小さいサイズなら30分以内で作れるようになるので(確認・清書はまた別)電車内の時間で作り切れます。大きめの場合は、ある程度作っておいてそれを後日に仕上げる感じですね。
参考:パズル作家としての収入は?
気になるパズル作家の報酬ですが、大体一作品あたり数千円~2万円くらいまでです。私の場合はそれで、年10-30万円くらいの収入でした。月に2-4日間ぐらい時間をとってその収入でした。アルバイトと考えたら十分だと思います。むしろ、パズルつくりという好きな事をやってのアルバイト収入と考えたらかなり良い仕事ですね。
これは、それ以上に伸ばす事もできます(他メンバーはそうしている方もいました)。パズル作家やパズルに携わる事での生業も立てられます。ですが、私はできる範囲で副業的にやっていたので、これくらいの報酬でした。
パズル作家になるのに本当に大切な事
さて、パズル作家のなり方はここまで書きました。わかって頂けたでしょうか?
で、この7ステップを読んでわかった方もいると思いますが、このステップの通りにやって全ての方がパズル作家になれるわけではありません。残念ながらパズル作家になれる方となれない方がいます。なれるかなれないかを分けるものが、1つあります。
それは、“好き”かどうか。
これが全てです。私が17年間続いた(今もパズルつくりは嫌だからやらないわけではないです)のはパズルが“好きだから”です。幼少期からパズルやクイズが好きで、それを解くのにはまって、作るようになりました。
それは野球少年が小学校・中学校とたくさん練習して、やがて甲子園に行き、プロの世界に行くのと同じくらいに自然な事でした。
そういう私自身の経験から、パズル作家は内職として、お金を稼ぐ方法としてではなくて、好きだからやるものだと思っています。そもそも、パズル自体が趣味のものなので、「好きだから作っています!」の感覚の人でないと面白いものは提供しにくいです。自分の楽しい感覚がないと良いものにならないのです。
本当は全ての仕事のあてはまる話です
これは、会社勤めの仕事でも、内職等の在宅の仕事でも、フリー・独立しての仕事でも本当はどういう仕事でもあてはまる話だと思います。好きだから、楽しいと思うから、やりたいからからやる。その結果、いい出来になるし、上司・お客さん・クライアントさんに喜んでもらえるし、大きく価値を提供できる。また私のように長く続けられます。
もちろん、すぐにそういう仕事は見つからないかもしれませんし、家計を考えるとそうもいえないかもしれません。
それは、それでいいと思います。ですが、それと同時に、自分にとって”好きな”“楽しい”仕事を見つけようとする。そのプロセスは大切だと思います。
本当に好きな仕事に取り組む時に得られるものは大きいです。その仕事に関わる喜び、その仕事に取り組む喜び。幸福感という大きな報酬を得られて、それにプラスして金銭的な報酬が加わります。
この文章を読んでいるあなたには、その両方の報酬を得てもらいたいと思って記事を書きました。最初から、それを本業でやる、好きな事を仕事にするのは確かに難しいかもしれません。
でも、アルバイトで、副業で、在宅でやるならリスクも少ないですし、小さなステップから始められます。なので、まずはあなたがやりたいと思う”好きな”仕事からやってみる。それを私自身の経験からも強くオススメします。
なお、別のパズルであるジグソーパズル作成をお仕事にされている方もいます。ジグソーパズル作成代行という仕事です。こちらの記事もありますので参考にしてみてください。
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